2004.10 ●組曲その1● ドレミってなあに?
2004.12  ●組曲その2● 短調ってどうして悲しいの?
2005.2   ●組曲その3●(冬の)ソナタって何のこと?
2005.4   ●間奏曲●どうして感動するの?
2005.6   ●終楽章●音楽が目に見えたら?

2004.10

 ●組曲その1● ドレミってなあに?
  「ドレミの練習をしましょう」と七人の子供たちと一緒に歌うマリア先生。サウンドオブ ミュージックのドレミの歌≠ヘ誰でもが知っています。…でも、ドレミ…って、なあに?
 そう言われてみると、はて?と思う方、ドレミはドレミ、と答える方の二通りが想像出来ますが、いかがでしょうか。
 では、歌ってみましょう! 「ド・レ
・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ…」 どんどん高くなっていきますが、どこまで声が出せますか? ドレミが音の階段≠セということを実感されたと思いますので、ここから始めの質問の意味を考えてみることにしましょう。
 私たちが歌っているあの間隔の階段、つまりドレミでなくてもいいんじゃないの? 少しずつ高くなっていく緩やかな階段∞急な階段°r立、梯子…。い
ったい誰が、音楽と言えば「この階段」と決めてしまったのでしょうか。そ・れ
・は…あなたなのです。えっ?! どういうこと?
 こんな経験をされた事はありませんか? 集会で「全員で声を出して読んでみましょう」となった時、出した自分の声が皆と合っていないようで、高さを変えてみたり、そうこうしているうちにバラバラだった皆の声が一つにまとまって聞こえた、という経験。皆がドならド、ソならソを同じ音を出しているわけではないのに、まとまって聞こえるのは何故なのでしょう。
 私たち人間は調和≠フ中で生きるようにつくられています。最も調和する音を本能的に求め、居心地を良くしているという訳です。神秘は昆虫だけにあらず。
 では調和≠キる音ってなんでしょうか。これが答えになりますが  ドとソ、リレーのように次はソとレ、レとラ、ラとミ、ミとシ、と同じ幅で、共鳴する自然の法則があることを私たちの
祖先は何千年も前に発見し、音を鳴らしていたのです。これを並べ替えてみると、ドレミファソラシドに。私たちにとって一番心地よい階段≠セったのです。

 

2004.12

 ●組曲その2● 短調ってどうして悲しいの?
   前回「ドレミってなぁに?」で、神秘は昆虫だけにあらず 私たち人間は調和の中で生きるようにつくられています。『大勢で何かを読んだり唱えたりする時、バラバラだった皆の声が一つにまとまってくる』というお話をしましたね。
 ヴァイオリニストのイェフディ・メニューヒンが体験したというお話ですが、たいへん興味深いので紹介させていただきます。
 『ギリシャ本土の南、エーゲ海のミコノス島で、私は世にも珍しい体験をした。ミコノスの港の外に、群れをなす蜂のほかは住むものとてない小さな島がある。この島で目につくのは傾斜した小さな海岸と、島の一番高いところで、めったにない訪問客を待つ石の礼拝堂である。島の
 形は相当ごつごつした感じで、切
 り立った断崖が険しくそそり立ち、そこで海岸が終っている。四月のある日、花の咲き乱れる断崖の上を歩きながら、蜜を集めて回る蜂の羽音に耳を傾けていると、はっきりと私の耳に聞こえてくる二つの音があった。その一つを基音(例えばド)と呼ぶことにすれば、いま一つは正確に五度上(ソ)の音である。近づいて目と耳で確かめてみると、大きい方の蜂が低い音を、小さい方が高い音を出しているらしい。(中略)やがて、この二つの音のちょうど中間あたりにくる音(ミ)を出す蜂がもう一匹加わった。(略)』
 突然ですが、悲しさ≠ニはいったい何でしょうか? それは別れ・病気・被災…。物事が正しくないと感じることであり、嘆く気持ちが沸き起こるのです。しかし、最も根源的な悲しみは、われわれ人間の生物としての本能で、あってはならぬ事が起こり、自然界の調和が失われることなのです。よく響き合うドとソの間に入った音(ミ)が半音下がってしまうと、調和が崩れたと即座に判断するのです。ド・(半音下がった)ミ・ソ、この音の構成が短調≠ニ呼ばれるものなのです。

2005.2

 ●組曲その3●(冬の)ソナタって何のこと?
 いやあ、すごいセンセーショナルなブームを巻き起こしましたね「ソナタ」が。チュンサン役を演じたペ
・ヨンジュン氏の人気たるや、若い女性からケッコウな年のおばさんまでが彼の魅力の虜になり一躍大スターに。ソナタはすごい! などとシャレを言ってる場合じゃありません。ユジンとチュンサンをとりまく恋の彼方に涙を流しながら「冬のソナタのソナタって何?」などと考える暇などないっていうものです。
 皆さんご存知のように「ソナタ」は音楽用語ですが、ではユン・ソクホ監督がなぜソナタという題名を付けたのか、というところから考えてみたいと思います。若い男女が出会い恋心が芽ばえます。順調にいくと思いきや波乱が。何かが起きるから
  こそ私たちの心を捕えるドラ
  マ≠ノなる訳ですから当然のことですね。
 さてソナタ形式とは、始めに主題の「提示部」があり、次に「展開部」、そして最後に主題の「再現部」の3部分からなる楽曲のことですが、ここで最も大事なことは、この3つが何を意味しているかということです。私達が暮らしている地球を考えてみましょう。自然の法則と同じであるということに気がつきます。東の空から太陽が昇り、西の空に沈む、そしてまた朝が。春が過ぎ、情熱的な夏がやって来る、木の葉が舞い秋…そして冬、しかし再び木々が芽吹き、花が咲き春が巡ってくる。おっと、「冬のソナタ」では春は巡ってこなかった? ハッピーエンドとは言えないとの声も聞かれましたが、どのようにご覧になったのでしょうか?
 ソナタ形式の音楽は、春―冬―春とハッピーエンドの曲が多いのですが、これも前回お話したように人間の本能と言えるのではないでしょうか。「朝の来ない夜はない」とか「再び春がやってくる」と、時に慰めの言葉として使われますが、言い替えれば人生それぞれドラマ≠ェあるということですね。ユン・ソクホ監督はこのドラマ≠ニいう意味合いで「ソナタ」という題名を付けたと納得したものです。

2005.4

 ●間奏曲●どうして感動するの?
  言うまでもありませんが音楽≠ヘ目で見ることができないものですね。感覚器官である耳から入って心に響き「感動」するのはいったいどうしてなのでしょうか? 前回取り上げた「冬のソナタ」のあのメロディー、ドラマを盛り立てる大事な役目を果たし多くの人の心をつかんだのです。人は起きた事実を理解した時、それが不幸≠ネことなら「なんてこと!」と憤怒の感情に留まろうとします。そこへ聞こえてくるメロディー〜ゆっくりと流れる短調の…思わず目頭が熱くなり溢れてくる涙…。
 さて、あってはならぬ(不幸な)音のハーモニー構成が短調≠ニ呼ばれるもの(前々回にお話しました)ですから、あなたの不幸と共鳴した(短
 調)のメロディー、つまり共感した
 「何者」かが慰めてくれる言葉≠ニして心に届くということなのです。子供の頃、誰かに優しい言葉をかけられた途端、ワァーと声を上げて泣いてしまったという経験、誰しも一度や二度はあると思いますが、これと全く同じことなのです。因に「冬のソナタ」はもちろん短調≠ナあります、ハイ。
 すでに知られているように、右脳は体の左半分を、左脳は体の右半分をコントロールしていますが、音楽≠ノ関しても右脳と左脳とで全く役割が違うことが判っています。音の高さ・メロディー・リズムの識別は主に右脳で行われます。左脳には分析機能があり、言語能力をつかさどります。慰めてくれる言葉≠ニしてメロディーが聞こえたということは、右脳で捕らえたメロディーが即座に左脳が言葉≠ニして分析しているという訳なんですね。「難しい(クラシック)音楽がつまらない」のは、右脳で識別したものが、左脳で言葉として捕らえることが複雑過ぎてできないのですね。ですから、訓練を積み重ね右脳左脳が連動して脳全体が働くようになれば、いつまでも「感動」する若々しい心が保てるということになるのです。指を動かすのは単にボケ防止になる、というだけでなく、楽器を奏でることは最高の妙薬≠ニなるのです。

2005.6

 ●終楽章●音楽が目に見えたら?
  「音楽 」がお皿に乗っています。目に飛び込んでくるのは「色」「わぁ、ご馳走!」それぞれの色が今にも踊り出しそう!思わず手を取りステップを踏む「あなた」もちろん心の中で。ルルンルンルン…パクッ!(口の中に入れたい欲望には勝てない)ジュワジュワ♪♪♪口の中に広がる。幸福感。うーん、たまらない…それぞれの素材がバランスよく絶妙なハーモニーを醸し出している。サクッ♪パリッ♪ ツルン♪ シャリッ♪ ハーイ、あなたはどんなお料理を想像されましたか? あっ、どうぞよだれをお拭きになって。
 お皿は場所(ホール・部屋・外等)です。色は和音(ドミソ・ドファラ等々)。ステップを踏むあなたはもちろんリズムですね。サクッ・パリッ・ツルン等はフレーズ(メロディーの一まとまり)。ハーモニーは言うまでもありませんが、これ 
らが醸し出す調和≠ナすね。
 さて、ここで問題です。お皿に乗っているご馳走、味わう上で、目には見えないけれど大事なものがあります。それは何でしょうか? おっと、調味料ではありませんよ。プーン。いい匂い…はい、答えは「匂い」でした。この匂い、風邪をひいて鼻が効かなくなった時、食べ物のなんて味気のないこと! こんな経験をされた方は少なくないと思いますが、味わうのは味覚だけに依らないことが解りますね。
 またここで問題です。音楽でこの匂いに当たるものは何だと思いますか? うーん、超ムズカシイって? 答えは「超音波」。人間の耳に聴き取れない高い音(波)ですね。楽器の音や人の声からはこの超音波が発生しているのですが、目に見えず、耳にも聞こえず…なのに音楽にとって大事だと、どうして言える? ハイ、然るべき質問にこれだけははっきりと答えることができます。それはカンドウ感動≠フ度合いが違うのです! 超音波の量によって。
 

【コーダ(音楽の終りの言葉)】
 皆様の心に何かしらお届けできたなら嬉しく思います。
 「音楽ビスケット」はこれにて終了です。
ペロッ、ご馳走さまでした!